COLORED LEAVES


目の前にある、扉を二回ほどノックする。

「・・・・・・・・」

応答は無い。
もう一度だけ、ノックをしてみる。
やはり反応はなし。

左右廊下を見回してみても、放課後に部活を終えた生徒達が数人往来してるだけ。
窓に視線を移せば。
西に傾いた太陽が、顔を隠そうとしている。

「おかしいな。現国の準備室にいるって、聞いたんだけど」

首を傾げて。
もう一度職員室へ戻ろうか?と思いながらも。
ドアノブに触れて、回したら。
簡単に開いた。

そっと開けて、室内を覗けば。
鼻腔につくタバコの匂いと、薄暗い部屋。
大量の書類に埋もれた机に、両腕を枕にして寝ている先生の姿が。

「寝てる・・・・・」

全く。
こっちは日誌をわざわざここまで、届けに来たと言うのに。
職員室の方が、断然クラスから近いんですけど。
両肩で溜息をついて、机に近づく。

「せん・・・・」

起こそうとしたけど、あまりの間抜け面に。
「可愛い」と、つい本音。
笑いが毀れそうになる。

・・・あ〜あ。涎まで垂らしちゃって。
よほど、疲れていたのか。

たまに鼾さえ、聞こえる始末。
とりあえず、空いてるスペースに日誌を置いた。

気付けば先生の背後にある窓が、少しだけ開けれられていたから。
起こさない様に窓まで歩いて、そっと閉めようとした時。

「あ」



一枚の・・・色鮮やかな紅葉が、ひらりひらりと空を描いて。
銀色の髪に、着陸した。

窓を閉めて、寝ている先生を見下ろし。
頭に付着した、紅葉を手に取って。

「起こさない様に・・・ね」

出来るだけ足音を立てず、入り口まで辿り着き。
肩越しに振り向いて。

「お疲れ様。先生」

一言呟いて、準備室を後にした。

先生の髪に着陸した、紅葉は。
何となく手放すのが、惜しいから。

生徒手帳に忍ばせておこう。





※3−Z設定でございます。
「3-Z」で神楽ちゃんは会話の語尾に「アル」等を付けてるのでしょうか?
・・・・・勉強不足で申し訳ありません。←小説で確認しろよ。
と言う事で、此処のサイトでは神楽ちゃんの会話文は標準語で書かせて頂いております。(今のところ)
・・・・・違和感があるのは、否めませんが。どうぞご了承下さいませ。

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