よころびの歌


この世に生を受けた、あなたに祝福を。


小さい手を、きゅっと握り締めて。
私の右手の人差し指を掴む、小さなあなた。

心がほんのり、温かくなるのが分かる。
じんわりと、染み込んでいく。
そんな感じ。

今まで瞑っていた目は、少しずつ開いて。
綺麗な2つの瞳が、私を映すまでになった。

これからあなたは。
どんな風に、育っていくんだろう?

その少し癖の付いた、髪の毛の持ち主と同じ様に。
真っ直ぐ、自分に正直になってくれるかな?

ああ・・・でも。
マダオの部分は、真似しなくて良いからね?

そんな事を考えながら、容の良い頭を撫でていたら。
指を握っていた小さな手が、静かに開いていって。

「・・・寝ちゃったアル」

少しズレた上掛けを、掛け直していたら。
・・・同時に玄関の扉が、開く音がした。

「け〜ったぞぉ」

あなたのお父さんが、帰って来たヨ。
それでね?すぐ、この部屋に来るの。

足音が近づいて襖に手が掛かり、静かに戸が開けられる。
私の隣に座り込んで、覗き込むと。

「お?寝てんのか?」

「うん、たった今」

「何だよ、オレが帰って来るまで、起きてろっての」

口調と反対に、優しい眼差しで見つめて
そっと頭を撫でる、銀ちゃん。

「銀ちゃん」

「ん?」

「この子が起きたら、散歩行こうヨ?」

「散歩?」

だって、見て貰いたい。
この世の全てに。
太陽・雲・空・風・光・木々・動物達に
私達の、赤ちゃんを。

「しゃ〜ねえなあ。少しだけだぞ?」

「うん」

こんなにも・・・幸せですって。
そして感謝の気持ちを。

生まれて来てくれて、有難う。




※赤ちゃんが生まれた設定で、未来の銀神話を書いてみました。
何となくなんですけど、この二人の子供って「男の子」な気がします。
勿論名前は「銀楽」で。
この様な駄文に目を通して下さり、真に有難うございました。


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