Approach

 

どんなに、言葉で伝えても。

どんなに、行動で示しても。

あの銀髪の男は、決して本気にしてくれない。

 

一瞬驚いた顔はするけど、「はいはい」と綺麗に受け流す。

しかも頭を軽く、叩きながら。

そんな奴の態度に、いつも両頬を膨らませてしまう。

 

確かに私と銀ちゃんは、年の離れた者同士で。

妹・・・・下手すれば、親子に見られるかも知れない。

 

でもそんなの、嫌なんだヨ。

だって私は妹でも無ければ、娘でも無いし。

 

銀ちゃんとは血縁関係も無い、れっきとした『他人』。

ただ年齢が、大幅に離れてるってだけ。

 

――――それって、そんなにいけない事アルカ?

 

この言葉に、銀ちゃんは困った顔を浮かべて。

 

「感情の赴くままって訳には、いかねえんだよ。大人になれば、なるほどな」

 

そう言って、再び頭を軽く2回叩いた。

・・・・・言ってる意味が、さっぱり分からない。

表情に出ていたのか、眼前の男は唇の片端を上げた。

 

「お子様には、ちょいと難しかったか?」

 

「――――ガキ扱いすんなって、言ってるダロ!この天パ!!」

 

私の抗議に銀ちゃんは、両肩を竦めると長椅子に身を沈めて。

 

「へえへえ。そりゃまた、失礼しました〜」


反省0%の台詞を述べると、テーブルの上に置いてあった愛読書に手を伸ばした。

どうやら――――この会話を続ける気は、もう無いらしい。

 

・・・・・また。失敗に終わったカ。

 

いつになったら、この想いは・・・・マダオ侍に到達する事が出来るんだろう。

いつになれば、銀ちゃんに近づく事が出来るんだろう。

 

私が・・・・・大人になった時?

 

でも良いの?ひょっとしたら。

銀ちゃん以外に、好きな人が出来てるかも知れないヨ?

 

その時に泣いて縋って来ても、顔面思い切り蹴飛ばすからネ。

私だって・・・・いつまでも、14・5歳のままじゃないアル。

 

その事――――脳味噌少ない頭に.
しかと叩き込んでおくヨロシ。

 

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