EYES ON ME



あ・・・・。
また。
銀ちゃんが、私を見てる。

本当は。
視線に気付いてるけど。
新聞に熟読している、振りをして。

時々。
そうやって。
眼差しを、投げ掛けて来るのは。

どうして?

「・・・・・・・・」

何だか無性に、恥ずかしい。
居た堪れなくなって。
新聞を顔まで、持ち上げる。
これで。
銀ちゃんからの、視線は遮断された。

けど。
ほっとしたのも束の間。

目の前に座っていた、ソファーから。
立ち上がる気配がして。
てっきり、何処かに行くのかと思ったら。

顔を隠す為に、持ち上げていた新聞が。
突然、下げられて。

「!?」

同時に、眼前に現れたのは。
ちょっと意地の悪い笑みを浮かべた、銀髪の男。


「いきなり顔を隠したのは、どうしてかな?神楽ちゃん」

軽く首を傾げて、そんな事を問い掛けて来る。
どうしてって・・・言われても。

銀ちゃんの。
私を見るその瞳が。
いつもと、違うから。

現に今。
私に向けている、瞳さえ。
『死んだ魚の様な瞳』ではなく。
『暖かくて、優しい瞳』。

ねえ、銀ちゃん。
反対に、聞きたいネ。
いつから、そんな風に。
私を見る様に・・・なったの?

貴方が私に。
投げ掛けて来る、その瞳の意味を。

どうか、教えて下さい。



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