SWEET DREAM


―――無骨で、大きな手が。

未熟な身体の、ラインをゆっくりなぞる。

壊れ物を扱う様に、そっと優しく。

肩越しに顔を埋めて、項を味わいながら。

私の腰に、腕が絡められた。

死んだ魚の様な瞳に映る、私の表情は。

―――決して誰にも、見せる事はない。

貴方だけのモノ。

ねえ?今の私は―――その瞳に、どう映ってる?

相変わらず、ただの『ガキ』?

でも・・・・そんな様子。

一切感じられない。

だって・・・私を見つめる、2つの瞳が。

とても優しくて、暖かい。

力強く抱き締めてくれる、二の腕からも。

貴方からの『熱』が、伝わってくる気がする。

窓から差し込む、月光に照らされて。

うっすらと浮かびあがる、『今夜の証』。

私が貴方の背と胸に、刻んだ数本の『紅い傷跡』。

それに、応えるかの様に。

私の首筋に複数の、『紅い傷跡』が生まれる。

息が触れ合う程の、至近距離。

身体と身体が、絡み合う度に。

皺を寄せるシーツと、衣擦れの音。

重ね合った、手と手。

まるで『夢』を、見ている様。

嬉しくて・・・思わず瞳から、一筋の雫が流れ落ちる。

貴方はそれを、指で優しく拭い。

困った様な、笑顔を浮かべて。

「お前の涙だけは、勘弁」と、瞳に一度だけ口付けた。

―――違うよ?違うんだよ、銀ちゃん。

「嬉しくて」と、一言だけ告げると。

一瞬だけ、両目を開き。

私の頭を、優しく撫でながら。

今度はいつもの、笑顔を浮かべた。

「感涙なら、大歓迎」

そう言って、顔を近づけ唇に触れる。

あらゆる角度から、濃厚な口付けを繰り返され。

唇を離そうにも、逃れぬ様・・・・繋ぎとめて。

それを、許してはくれない。

触れられた唇から、電流が走り。

身体全体が蕩けてく様な―――――そんな感覚。

好きで・・・・好き過ぎて。

息も、出来ないくらい。

このまま――――貴方と、二人きり。

永遠にいられる事が、出来たら良いのに。

このまま――――貴方と。

永遠に『甘い夢』に、溺れていたいヨ。


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