「銀ちゃん!」
「銀さん!」
「―――――あ?何だよ?二人して、ニヤニヤしやがって。気持ち悪ぃ」
「気持ち悪いとは、酷い言い草アルナ。――――人が、折角――――」
「まあまあ、神楽ちゃん。此処は、落ち着いて。
ところで銀さん、今日は何の日か・・・・分かってないみたいですね?その顔じゃあ」
「『聞くだけ無駄だった』みたいな表情、しないでくれる?
お前が勝手に話し振って、終わらせただけだろうが!
――――今日は、何の日?って?10月10日だろ―――――あっ」
「思い出した、みたいですねえ〜。銀さんの誕生日」
「・・・・『体育の日』という祝日が誕生日なのに・・・・・何で忘れるアル?
ひょっとして、わざとか?忘れた振りして、周囲から『そういえば今日、誕生日だったよね!』って言われたいが為の演技でもしてるの?」
「――――誰が、そんな寂しい演技するかあああ!
これくらいになると、祝って貰う様な年でもなくなってくるんだよ!
更に30代に突入すれば、『嬉しいって年でも無いから』って言うのが関の山なの!」
「――――そうは言っても。やっぱり銀さんだって、お祝いして貰えれば嬉しいでしょう?
素直になりましょうよ、此処は」
「・・・・まあ。そりゃあ?祝って貰えないよりは、断然良いだろよ」
「全く。素直じゃない、男アルナ」
「うっせ!ビックなお世話だ、このヤロー」
「『誕生日』が、台無しになってしまいますよ?その顔。いい加減機嫌を、直して下さい」
「新八。銀ちゃんの『主人公』らしくない顔を、元に戻すには――――アレしかないヨ」
「主人公らしくないだけは、余計だ!」
「そうだね。お披露目しようか、じゃあ」
「オレを無視して、話進めてんじゃねえええ!何なの?お前等、マジで!」
「――――銀さん!」
「――――銀ちゃん!」
「!?・・・・これ」
「いつも同じじゃ、つまらないからな。今回は、シュークリーム・タワーにしてみたヨ♪」
「カスタードは当然ですが、チョコ・コーヒー・抹茶・イチゴと種類も豊富に揃えました」
「・・・・・お前等」
「『HAPPY BIRTHDAY!』」
「良く、味わって食えヨ?」
「まあ夜には、改めて『誕生会』が開かれますけど。今のうちにゆっくり、食べて下さい」
「ああ――――サンキュ・・・・って。何か、左肩が湿ってるんですケド。えっらい、殺気みたいなモンを・・・・感じてるんだケド」
「え?・・・・おりょ?定春―――このシュークリーム・タワーが食べたいのカ?」
「――――何か、背後から喰われそうなフイ――――」
「あ゛あ゛!!銀さん!」
「あらら。頭から思い切り、喰われちゃったアル」
「お前が喰いたかったのは、コレじゃなくてオレかあ!」
「きっと定春流の、『おめでとう』ネ」
「そっか。定春も、万事屋の一員だもんね。銀さんに、伝えたかったんだ」
「ちっとも、嬉しくないんだけど!誕生日が、命日に変わろうとしてるよね?これ!
とっとと、どけて!この犬!てか、定春!オレから離れなさい!」
「何だかんだ言って――――銀ちゃんの事、大好きアルな。定春は」
「見てて痛々しいけど、微笑ましくもあるよね。
じゃあ――――僕達もお茶でもしながら、この『タワー』のお裾分け頂こうか」
「その案、乗ったアル!」
「あのう・・・・まだ、1個も口にしてないんですけど。銀さん。
額から人体に重要不可欠なモノが、勢い良く流れ出てるんですけども・・・・放置プレイですか?新八くうううん!神楽ちゃあああん!ちょっ・・・・助けてええええ!」
なにはともあれ、HAPPY BIRTHDAY!