[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

眼鏡越しの空

季節は夏休みも目前の、7月半ば。
図書室に掛けられた時計を見れば、もうすぐ授業が終わる時刻を示している。

グラウンドを見やれば、体育の授業を受けている。
他学年の生徒達が嬌声を上げて、陸上競技の演目をこなしているのが見えた。

そしてグラウンドの隣は、プ-ルがあり。
夏の陽射しを受けた水面は、キラキラと輝き放射状に光を放っている。
その水面を弾くかの様に、自分のクラスメイト達が楽しげに泳いでいた。

「・・・・退屈・・・」

誰もいない図書室で、呟いた言葉は意外に響いて。
適当に本を取ってはみたものの、読む気などさらさらなれず。

――――
やっかいな体質だ・・・・。
涼しげに泳いでいるクラスメイト達を見ていると、つくづくそう思う。

机に両肘をついて、小さく細い指を絡めさせその上に顎を乗せた。
瓶底の眼鏡を掛け・・・肌は陶磁の如く色白。
桃色の髪に2つのお団子がトレ-ドマ-ク。

元々太陽に弱い身体な為、体育館以外の種目は見学か自習をする事になっており。
本来なら見学をするのだが生憎この『銀魂高校』のプ-ルには。
日除け等の庇は設けられていない。

その中で見学なぞしていたら、確実に自分は倒れるであろう。

そんな訳で自習となり担任の銀八から、『図書室に行って、本でも読んでろ』と指示された。
外野とは裏腹に、静まり返っている本だらけの教室。
私は両肩で息を吐き出すと、目の前に置かれている本に手を取る。

『空の写真』。



何の考えも無しに、ペラペラとぺ-ジを捲っていく。
視界に入って来る、太陽と青い空と白い雲。
自分があまり拝めない映し出された光景は、写真と言えども美しくて。

「・・・・綺麗・・・・・」

正直な感想をポツリと漏らした時と同時に―――――
図書室のドアがガラリと音を立てて、開かれた。
ハッとして顔を上げれば、相変わらずやる気の無さそうな顔した担任が。

「・・・先生・・・」

「よお、神楽。ちゃんと自習してっか?」


あくまでも『ペロペロキャンディ-だ』と言い張る、口に咥えたタバコを噛み潰しながら。
ペタペタとサンダルを鳴らし、私に近づいて来たので。


――――授業は?良いんですか?」

本を開いたまま、視線を先生に合わせた。

「ああ、この時間はどこのクラスも受け持ってね-んだよ」



※ブログサイトで掲載していた、銀神3-Z小説です。
何を隠そうこれが、初めての3-Z小説だったんですけど。
連載モノだった為、UPが遅れました。
ちなみに所々、修正も加えてあります。


→NEXT

小説トップページへ戻る