AN ANNULAR ECLIPSE 後編

――――三人と一匹。
揃って、窓辺に立ち。
不似合いな、サングラスを掛けて。
頭上に現れる『リング』を、じっと見つめる。

太陽の全身が月に隠れる、瞬間。
一箇所だけ、漏れ出て光輝き。

新八と神楽は、一斉に声を上げた。

「綺麗だなあ・・・」

「うわあ・・・ダイヤモンドみたいネ」



確かに。
ダイヤモンド・リングに相応しい。

左隣で見惚れ続ける神楽に、横目でちらりと、見やり。
気付かれない様、笑みを浮かべる。

すると・・・・・着物の袖を引っ張られ。

「?」

耳元に、神楽の吐息。

「今度は、本物を拝んでみたいアル」と、小声で囁かれ。

・・・お前・・・本物って。
そんな高級宝石が、手に入る訳―――――

「ダイヤモンド・リング。用意しといてくれる?」

・・・何ですか?
ひょっとして、逆プロポーズですか?
それとも無意識って奴?

自然と、笑みが毀れ。

どちらにしろ。

――――お前が、必ず『万事屋』に戻って来るってんなら。考えてやんよ」

「何を、今更。それより、約束したからな?絶対―――

「はいはい、忘れませんよお〜」

金環食の様な。
ダイヤモンド・リングは難しいかも知れないけど。

次にお前が戻って来た時は、『ある言葉』と一緒に。
その白く細い指に、ぴったり嵌る。

(リング)』を、用意しておく事にしようか。


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※背景素材は、管理人IRIS様が運営される『妙の宴』様よりお借りしました。



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