A DETERMINATION OF RING FINGER 前編
「神楽」
背後から、名前を呼ばれて。
「何?銀ちゃん」
振り向いたら、突然。
目の前に差し出された、小さな小箱。
「・・・・?」
男の掌にすっぽりと。
収まりそうな、白い正方形。
その箱を囲う様に。
可愛らしく赤いリボンが、巻かれている。
訳が分からないとの、態度をした私に対して。
顔を横に、向かせた思えば。
仏頂面を浮かべ、一言。
「これ・・・お前に、やる」
「え?ひょっとして、プレゼント?嬉しいアル。・・・でも今日、私の誕生日じゃ―――」
眉間に皺を寄せつつ、「無いヨ」と言おうとしたら。
先程より強い口調で、遮られた。
「誕生日プレゼントじゃねえって」
「・・・・・・・」
――――じゃあ、何ヨ?
目の前の男は顔を背けたままで、こっちを、見ようともしない。
差し出された箱を、凝視していたら。
「・・・・いらねえの?いらねえんなら――――」
不機嫌な声で、そう口にして。
箱を乗せた手を、引っ込めようとしたので。
慌てて、両手で引き止めて。
「いる!いるヨ!」
「・・・じゃあ、とっとと受け取んなさい」
「うん」
そっと小さな箱を、両手の中に移動させる。
「――――開けて良いアルカ?」
「お前ね・・・開けないで、どうすんのよ?飾りにでもすんの?」
口から漏れる、盛大な溜息。
呆れた声で、返答されてしまった。
だって。
銀ちゃんが、私に贈り物なんて。
「・・・・何か、企んでる様にしか―――――」
思わず、無意識に独り言。
「あ?何か言った?」
「別に」
危ない、危ない。
聞こえてたら、没収される所だ。
長椅子に座り、箱をテーブルに置いて。
二つに分かれる赤いリボンの先端を、両手で引っ張る。
私の行動を見ながら、銀ちゃんも隣に腰掛けて来た。
箱の上を滑る様に、リボンが流れ戒めが解かれる。
右手で蓋を持ち、左手で、下箱を支え。
少しずつ、上げながら。
「・・・・・・・」
開けた瞬間。
変なモノが、飛び出て来たりして。
ビックリ箱とか・・・だったり。
そんな猜疑心を、抱きながら。
最後まで開けると。
「・・・・あれ?」
※ETERNITYの続編です。
婚約指輪を購入した銀さんが、神楽ちゃんにプロポーズをするお話です。
あくまでも管理人の想像で書いてますので、ご了承下さいませ。