君の声で 君の全てで




「――――え?」

今・・・・今、何て言ったノ?銀ちゃん。

そう・・・・・言葉を、繋げたいのに。

口が上手く、動いてくれない。

――――心臓が、早鐘の様。

頭の内側では、うるさいくらいに音が響いて。

眼前の男は、顔色一つ変えずに。

長椅子に座って気だるそうに、右手で銀髪の頭を掻きながら。

普段と変わらない口調でゆっくりと、もう一度繰り返した。

「『万事屋(ここ)』から、出てってくれね?」

私にとっては、信じ難い台詞を口にする。

「ど・・・して?」

どうにか、己の唇を動かして。

一番聞きたい事を、言葉にした。

――――そう、どうして?

今まで銀ちゃん、そんな事言わなかったヨ?

この問い掛けに、死んだ魚の様な2つの瞳が。

突然鋭くなり、私を見据える。

「お前ももう、大人だ。出会った頃の、ガキじゃあないんだし。
―――今後居住の事は、ババアに任せてあっから」

「――――大人たって、まだ20歳にもなってないアル!」

今年18に、なったばかりなのに。

「18歳なんて、もう立派に大人に入る部類だよ。周囲にだって、『社会人』として働いてく奴もいるんだ。
別に『万事屋』を辞めろとは言ってねえだろ?新八みたく、家から通えば良いだけの事だし。
ただ『大人』としての、自覚を持って良い年頃だ。
いつまでも―――オレと一緒の住まいってのも、お前の為にもならねえよ」

そんな・・・・銀ちゃんと離れて暮らすなんて、考えた事もなかった。

「でも、銀――――」

尚も食い下がろうとする私を、強く「神楽」と遮って。

「悪ィけど。オレにも、一人の時間ってのが欲しいんだよ。
お前がガキの頃は、仕方無しと目を瞑っていたけど」

「・・・・・・・・」

確かに・・・確かに、思い返せば。

常に私か新八が一緒だったし、銀ちゃんの一人の時間と言えば飲みに行く時くらい。

「いつまでもオレの傍に、ひっついてねえで。
『世間様』に目を向けて見ろ。お前が知らない世界が、いっぱい広がってる筈だから」




※以前ブログサイトで掲載していた、銀神小説です・・・・・・が。
まだ未完の状態です。すみません、おそらく完結するまでだいぶかかると思われます。←おい。
どうぞ宜しくお願い致します。


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