案の定・・・・・数秒後に男達はただの『肉塊』に変貌し、横たわる。
―――――ああ・・・結局。
己に勝てる事は、出来なかった。
頬に飛び散った生ぬるい液体を、左手の甲で拭い捨て。
右足を、階段の縁に掛けた時。
「―――――――」
階上に――――見慣れたシルエット。
見下ろす瞳は、いつもと同じ様に。
死んだ魚の様。
―――――来て・・・・くれた。
「きっと来てくれるって、信じてたヨ―――――銀ちゃん」
こんなに変貌してしまった私を、どう見ている?
『夜兎』としての血を抑える事が出来ず。
望まれるがままに、『奴等』の傘下に入り。
今――――このお江戸を『破滅』に追い込もうとしている私を。
銀ちゃんは、私の顔を見つめて。
両肩を竦めて軽く溜息をつき。
次の瞬間――――眉間に皺を寄せて、こう言った。
「――――これ以上は、好き勝手させれねえよ。神楽」
・・・・・やっぱり。
私を止める事が出来るのは、銀ちゃんだけだ。
それが嬉しくて、思わず笑顔を浮かべてしまう。
「――――何だってこんな状況で、笑ってられんだ?てめえは」
口調からは・・・戸惑いと怒りが混じってる。
「ううん、思った通りと思って」
覚醒した私を。
「止めて―――・・・殺してくれるんデショ?私このままだと死ぬまで
『殺戮』を繰り返すアル、きっと」
「神楽・・・・・」
沈痛な表情を浮かべて、唇を強く噛んでいる。
――――どうして。そんな顔をするネ?らしくもない。
「――――奴は、お前を・・・『夜兎』の力を利用しているだけなんだぞ!?」
「知ってるヨ」
「――――じゃあ、何で―――――」
辛そうな苦しそうな顔しないでヨ、銀ちゃん。
「――――こういう運命だったネ」