「どうせ死ぬなら、銀ちゃんの手で」
そう言って、微笑むから。
「勝手ばかり言いやがって!お前が死んだら、悲しむ奴だってたくさんいるんだぞ!?
軽々しく『死ぬ』とか言ってんじゃねえよ、少しは考えろ!この馬鹿娘!」
――――お前がこの世からいなくなるなんて。
誰が考えるよ?
えいりあんはんた−として、『地球』を離れるってんならまだしも。
生きてりゃ・・・例え離れたって、会おうと思えば会えるもんだ。そうだろ?
だが――――『死』は違う。
もう会話する事も、触れる事も――――会う事すりゃ出来やしない。
「うん・・・自分でも酷い事言ってるって、分かってるヨ。でも――もう・・・・時間無いネ。
どんどん・・・・私の中で大きく――――蠢き始めてる。
こうやって・・・・話すのも難しくなって来た。意識が無くなった時が―――最後」
両目を瞑って、次の言葉を静かに呟く。
「きっと・・・・銀ちゃんの事――――覚えていない」
――――お前は・・・オレが止めに来るのを知っていて。
尚且つ・・・・殺される事を望んでいる。
・・・・・残酷過ぎだろ、神楽。
勝手にそっちから、背中に覆い被さって来た癖に。
『大切な存在の一人』として、認識させておいて。
――――許しも無く、降りるんじゃねえよ。
てめえがいなくなったら、新八だってどんなに衝撃を受けると思ってんだ。
「――――・・・・一つだけ、言いたい事があったアル。今の内に言っておくヨ」
「・・・・・・?」
・・・・言いたい事?
瞑られた両目が、ゆっくりと開き・・・・オレを見据えると。
「私、銀ちゃんの事――――『好き』だったアル」
―――――は?今・・・・何て。
「銀ちゃんが私の事をただの『クソガキ』としか、思ってくれてなくても」
神楽が・・・・オレの事を――――好きだと。
「一人の男として、好きだった」
真剣な表情――――。
嘘偽りない言葉が、胸を貫く。
「やっぱ・・・呆然とされちゃったカ。無理もないネ。でもホントの事ヨ」
静かに笑顔を浮かべ、両肩を軽く竦めた。