一人・・・また一人と。
神楽の振るう刃の餌食になり、倒れていく。
あまりの『壮絶な闘いぶり』に、残った同心達は青ざめ。

一歩一歩、後退しつつ――――逃避路を確保しようとしている。
そんな男達に対しても。

『冷酷非情』さを見せ付けた、神楽は。

恐れおののく奴等の、退路を塞ぎ。
考えられない速さで、刃を振りかざした。

「―――――っ・・・・そ!!」

我に返り咄嗟に身を起こして、刀で応戦する。
金属と金属がぶつかる音が、響き―――――。

「もう止めろ!止めるんだ!!神楽!!銀さんの言う事が聞けねえのか!?」

腹から絞る様な声で、叫んでみても。
返答はなく―――――その代わり、刀を受けたオレをジリジリ押さえつけて行く。

・・・・・ちくしょう、なんつう馬鹿力だ!
両腕は痺れ、徐々に後ろに押され始めた。

―――――と、突然神楽の背後に現れた、人影。

頭上を目掛けて、刃が振り下ろされようとしている。

「―――――!?かぐ――――」

神楽は瞬時に。
押さえつけていた刀を、背後からの攻撃に向けた。

「なんでぇ?・・・・・チャイナじゃねえか」

暗がりでよく顔が見えなかったが・・・・この声・べらんめえ口調は。

「―――――沖田・・・君?」

「・・・・・?ひょっとして―――――旦那ですかィ?」

鍔迫り合いをしながらも、余裕があるらしい。
質問を質問で返して来るとは。
とにかく両腕の痺れの解放された事に、軽く溜息を吐く。

「ひょっとしなくても。・・・・・・おたくが此処にいるって事は」

オレはもう一人の人影を確認し、やっぱりと納得する。

「・・・・万事屋?何してやがんだ、てめえは」

紫煙を吐き出しながら、近づいて来る『ヒジカタ君』。

「見て分かんねえ?」

顎でしゃくり、沖田君と対峙する人物を示した。

「・・・・!?チャイナ娘じゃねえか。どうして此処に―――――」

驚愕の表情を浮かべ言葉を発するが・・・・瞬時に状況を理解したようだった。
たくさんの返り血を浴びた、神楽の姿が視界に入ってしまった為に。



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