「うるせえ。あんな奴でも、死なれたら元も子もねえんだよ」
制止された腕を退かし、再び総悟の元へと。
駆けつけ様としたが――――。
「・・・・余計な手出ししねェでくだせえ。――――したら、あんたを先に――――」
振り下ろされようとした刀を。
転がりながら避けたと思えば、素早く立ち上がり。
「
「・・・・・・」
平然としている様に見えるが・・・。
恐らく先程の攻撃で、肋骨を何本か負傷したのだろう。
その証拠に、口から血を吐き出し。
右腕を、左胸あたりを当て・・・・・激痛に耐えている様だ。
「おい!総―――――」
「やっと」と、オレの言葉を遮り。
「・・・・やっと。コイツとの決着が、付けられるかもしんねえでさァ」
・・・・・決着って。
「――――馬鹿は止せ!この娘は『いつも』とちが―――――」
「わぁってますよ。・・・・普段のチャイナとは、全く違った『気』を感じる。
背筋が凍る程の『殺気』がね。下手すりゃあ、オレの方が殺られるかも知れねえ」
・・・・そこまで、分かってんなら――――!
「でも・・・・・不思議な事に、気分が『高揚』してる。
初めてオレと対等、それ以上の力の奴と闘える。土方さん、やっと巡り会えたんですよ」
静かに笑いそう言うと。
再び総悟は、チャイナ娘に愛刀を向ける。
「・・・・・・・・」
馬鹿だとは思っていたが此処まで、『戦闘』の馬鹿だったとは。
もし今――――総悟がチャイナ娘に、『命を奪われる』事があったとしても。
コイツは・・・・『笑って逝く』のかも知れない。
「――――――――」
気持ちは分からないでもない・・・・だが。
「・・・・沖田君」
突然。
隣でオレ等の会話を聞いていた万事屋が、総悟に声を掛けた。
一歩一歩・・・・奴とチャイナ娘の方へと、歩き出し。
「折角盛り上がってる所で、わ〜りんだけどさ。
酢昆布娘をこれ以上、『血』で染めさせたくねえんだわ」
「旦・・・・那?」
「コイツの相手・・・・・オレに譲ってくんねえかな?」
すると。
総悟の方へと身体を向けていた、チャイナ娘が。
オレと万事屋へと向き直る。
――――――と、同時に月光を受けて顔が晒された。
―――――!?
紅く染まった肌と―――――それに負けない、紅い両眼。
碧眼ではなく・・・・まるで、紅玉を嵌め込んだかの様な。