――――――『桁違い』。
万事屋とチャイナ娘の対峙を、目にして思い浮かんだ言葉。
気に食わない奴だが、万事屋は『相当に強い』。
しかし―――――。
奴の『動き』に対応し、更にその上をいくチャイナ娘。
一瞬の内に、奴に傷を負わせるとは。
レベルが違い過ぎる。
・・・・だが。
深手を負ったとしても。
アイツは、助太刀に入るのを。
拒否するだろう。
オレ達は。
見守るしか、他ない。
この『闘い』を。
咥えたタバコを噛み潰し、2人の行動を凝視していたら。
「あ〜あ・・・・旦那に、横取りされちまったなァ」
苦笑いを浮かべながらも、苦痛を抑えている総悟の声。
「―――――馬鹿言ってんじゃねえ。肋が折れた状態で、どう闘えるってんだ?」
「こんなの鼻糞みてえなモンでさァ。遣り合ってる内に、痛みも麻痺してくるもんでィ」
諦めの悪い奴だ。
刃と刃を交える2人を、名残惜しそうにじっと見つめている。
「てめえの無茶で、近藤さんに迷惑掛けても良いってのか?」
この言葉に一瞬だけ、身体を硬直させるも。
「例えオレが命落としたって・・・・あの人は、きっと
『理解』してくれますよ。滝涙と鼻水を流しながらねィ」
・・・・益々、『死なせる』訳にいかねえよ。
てめえが死んだら、どんだけ近藤さんが落ち込むと思ってんだ。
「――――局長の親衛隊隊長が、軽々しく『死』を口にすんな。
今はその時じゃねえだろ。どうせ死ぬなら、『大将』の為に身体張れ」
壁に背を預けて、座り込みながら総悟が口を開く。
「そんなの言われんでも、分かってまさァ」
総悟・・・・お前の気持ち、分からんでもないさ。
『剣』を手にし、常に『覚悟』を共にして。
いつこの身が、『死ぬるかも』知れない・・・・過酷な状況下。
どうせ身を、滅ぼすなら。
全力を掛け、『胸が張れる闘い』をして―――――逝きたい。
―――――間違いなく・・・・チャイナ娘は。
その『相手』に相応しい。
―――――オレだって、食指が動くくらいだ。
それだけ・・・・あの娘の動きは一切の『無駄が無い』。
剣を振るう―――――ただ、それだけなのに。
その一つ一つが、流れる様に。
『華麗』で『優美』。