「――――ど・・・・して。そんな冷たい笑顔してん・・・だよ?」

以前のお前なら、もっと『暖かい笑み』だったじゃねえか。
金魚の糞状態で、いつもその笑みを向けてくれてたろ。

その笑顔が―――――見たい。

それだけなのに。

オレの名を呼ぶ声が、聞きたい。

それだけなのに。

向けられる微笑は、冷たくて。
声を発する事もなく。

―――――『血』と『戦闘』を楽しむ『最強戦闘種族・夜兎』がいるだけ。

頼むから。

「・・・・もう一度・・・・聞かせろ・・・・って」

忘却する事さえ、出来やしない。
いつも聞いていた、お前の『声』を。

「傍に・・・・隣にいて・・・・オレの名を、呼んで・・・くれよ」

顔を俯かせ祈りにも近い、囁きを放ち。
このまま死ぬのか?オレは。神楽の手によって。

「・・・・・・・」

それも・・・・アリかも知れない。

コイツの手で死ぬのも・・・・悪くない。

しかしいつまでも、攻撃はやって来なかった。
不審に思い顔を上げれば、振り上げられた腕がそのまま止まっている。

「・・・・・?」

止まっていた腕は、次第に震え出し。
オレを見下ろしていた紅い両目から・・・・。
透明な雫が溢れ出した。

「―――――かぐ―――――!?」

・・・・・泣いて―――――る!?

苦しげに顔を歪め、オレから離れようとした。

「神楽!!」

咄嗟に身体を、起こそうとするが激痛が走り。
掴まえ様にも、捉える事は出来ない。
太股に、突き刺さった刀を。

「ぬ・・・・うあああああああああああああ!」

右手を使って、渾身の力で抜き取り。
杖の様にして、ゆっくりと立ち上がる。

眼前にいる神楽は、両手で頭を抱え込んだまま。




→NEXT

←BACK

小説トップページへ戻る