うっすらと、両目を開ければ。
少し・・・・視界が、翳ってるけど。
ぼんやりと―――――浮き出てきた男の顔。
ああ・・・・そうか。
私が、初めて。
『好きになった』、男の人。
喉元に、違和感。
咳き込んでみれば―――――。
鉄の味。
口の中に、納まらず。
線を引いて、顎へと流れる。
「神楽!?神楽!!しっかりしろ!」
支えてくれている、二の腕が少し震えているのが分かった。
「ぎ・・・・ん・・・・ちゃ・・・・」
一句・一句・・・・己で言葉を確かめる様に。
男の名を呼んで。
「神・・・楽?お・・・前・・・元に―――――」
「・・・・何て、顔して・・・・るネ。銀ちゃ・・・・んらしく・・・・もない」
眉間に皺を寄せて、顔色まで悪い。
重く感じる左腕を伸して、そっと銀ちゃんの右頬に触れる。
私が、『覚醒』してしまった事によって。
顔も・・・・左肩も。
至る所に。
痛々しい程の傷を受け。
血を流している。
「・・・・銀・・・ちゃん。―――――ごめん・・・・ネ。
私・・・・の所為・・・・で、身体が――――ボロ・・・・・ボロ・・アル」
謝って済むような・・・・事じゃないのは、分かってるのに。
こんな言葉しか、出て来ない。
「――――――人の身体なんか、心配してんじゃねえよ!」
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