寒い・・・・。
折角銀ちゃんが、身体を包んでくれてるのに。

もう・・・・。
視界はほとんど、何も映さない。

さっきから、しきりに呼んでくれている
「神楽」と呼ぶ声も。

・・・・・聞こえなくなってきてる。

息をするのも・・・・苦しい。
先程よりも、呼吸回数が早くなった気がする。

パピー。
ごめんね、私。
『夜兎』の力に、勝てなかったアル。

変われるって、信じてたのに。
己の弱さに、負けてしまったヨ。

『バカヤロー』って。
怒り狂った、姿が目に浮かぶ様。

それとも・・・・泣いてくれるかな?

『えいりあんはんたー』になって。
一緒に、『大宇宙』を駆け巡りたかったけど。

ごめ・・・・ん・・・・本当に、ごめんね。
パピー。
大好き・・・・だったヨ。





最期の最期に。






「銀・・・・・ちゃん」






私は残された力を、振り絞って。
握られた手を、握り返し。
耳元で、囁いた。






『あの・・・・男を、救っ・・・・て』と。






きっと・・・・銀ちゃんを。
銀ちゃんが、来るのを待ってると思うから。





私と―――――同じ様に。





本当は、止めてくれる事を。
願ってると思うから。






だから・・・・救ってあげて。






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