―――――どんなに街中を探しても、見つからない。
頭上にあった黄金色の球体は、既に暮れかかっており。
数羽の鴉達が、鳴き声を響かせていた。
「・・・・神楽ちゃん・・・・何処にいるんだよ」
銀さんの・・・・言葉に、大きなショックを受けて。
もしかして・・・・・もう、『地球』にいないんじゃ・・・・。
神楽ちゃんにとって、銀さんの言葉は絶大だし。
「――――まさか。僕達に、何も言わず旅立つなんて」
そうだよ・・・・ずっと一緒にやって来た、仲間じゃないか。
何も告げず、旅立つなんて事は・・・・。
――――――無いと、信じたい。
「・・・・・・・・」
銀さんに『出て行け』と言われ、従った彼女はどんな気持ちだったんだろうか。
恐らく一番傍にいて、一番信頼した人物だった筈だ。
―――――ある意味、家族の様な。
そして『万事屋』は、彼女にとって一番の拠り所だった筈。
「そりゃ・・・・銀さんの言う事だって、間違っちゃいないとは思うけど」
神楽ちゃんだって、何時までも少女のままじゃない。
元々可愛い顔立ちはしてたけど、とても綺麗で魅力的な女性になった。
一緒に街中を歩いた時なんて、多くの男性達が彼女に見惚れていた程だ。
そんな神楽ちゃんと、30を目前にしてる銀さんが。
「いつまでも、一つ屋根の下って言うのは――――」
・・・・・マズイ様な・・・・・気がしないでもないかも。
けれど。
「そんな前振りも無く、突然追い出されても困るよなあ」
彼の出した結論が、良いのか悪いのか。
僕には何とも、言えない。
―――――とにかく。
銀さんには『放っておけ』とは、言われたけど。
僕としては、神楽ちゃんの居場所を知りたい。
そして・・・・また、万事屋メンバーに戻って欲しい。
「神楽ちゃんがいないと――――やっぱり、寂しいよ」
いつかは、離れ離れになるって分かってるけど。
ずっと三人が一緒に、いられる事も無いって知ってるけど。
こんな形で、終わりたくない。
「終わりたくないよ、神楽ちゃん」