―――――私が今いる場所は・・・・お江戸城内。

何故いきなり、こんな所にいるのかと言うと4日前に遡る。

一晩きりの筈だったが、行く宛先は当然無く。

幾松姐の元にずるずると、甘える形で身を置かせて貰っていた。

本人は「気にしないで良い」と、言ってはくれていたが。

いつまでも彼女の好意に、縋りついてる訳にはいかないのは分かってる。

―――――かと言って、万事屋に身を寄せる前の私には戻りたく無い。

でも何もしないままで、幾松姐の世話になるのも・・・・・。

そういう訳で、洗い場を任せて貰う事にした。

最初は慣れず、食器を割ってばかりで。

なのに幾松姐は、苦笑いを浮かべ許してくれて。

―――――思わずこの人の温かいフインキに、この暖かい場所に。

身を委ねたい、衝動に何度も駆られる自分がいた。

―――――けれど、それは絶対ダメだ。

何の為に・・・・銀ちゃんの元を、離れたのかって事になる。

考えを吹っ切る様、少し頭でも冷やそうと。

屋根の上に登り、ぼうっとしていたら。

正面遠くの方で、諍いの声が聞こえて来た。

「?」

最初は気の所為かと思っていたが、どうもそうではないらしい。

興味本位で、屋根伝いを駆け抜け――――目的地に辿り着く。

路の真ん中に置かれた一台の籠を中心とし、複数の男達が輪を描いてる。

―――――まるで、籠を守る様に。

だが更にその周囲を・・・・・柄の悪そうな、天人達が対峙していた。

一人の天人が隙を衝いて、籠に近づき――――中に入っていた人間を、引きずり出した瞬間悲鳴が上がる。

私は、思わず目を疑った。

「そよちゃん!?」

見間違える筈が無い――――4年前、『友達』になった少女。

目つきの悪い天人が、悲鳴を上げる彼女に下品な笑みを浮かべた。

その出来事に――――籠を取巻いていた護衛達は、一斉に刀を抜き始める。

――――瞬間。私は無意識に、屋根を蹴り。

彼女を捕らえていた天人に向かって、右足を繰り出した。

突然私の蹴りを顔面に受け、奇声を上げて仰け反る様に地面に着地する暴漢。

「大丈夫アルカ?」と、彼女を庇う様に臨戦態勢を取れば。

背後から驚きと戸惑いの声色で、「女王・・・・さん?」と呼び掛けられた。






※何だか無理矢理感が否めなくなってしまいました。改めて長編小説は、難しいと痛感しております。
まだまだ続くとは思います(T▽T)年内には終わらないだろうなあ・・・・・・・ORZ
更新も遅いこの長編に読んで目を通して下さってる方々に感謝しております。本当に有難うございます。

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