「――――な」

・・・・・・?

「――――んな」

・・・・何・・・・・だ?

もうちょい・・・・寝かせろ・・・・て。

「旦那ァ?こんな所で寝ると、風邪引きますぜェ?」

―――――あれ?この声・・・・は。

うっすらと視界を開けば、ぼんやりと映る見慣れた顔。

「目、覚めやした?」

横にしていた身体を、ゆっくりと起き上がらせれば。

頭の痛みが、微かに広がった。

「――――――っ・・・・・」

「酒飲んで寝るのは自由ですけど。自分の寝床で横になりましょうや。
この時期じゃ、完璧に風邪引きまさァ。それに世の中も物騒ですし、危ないですぜ?」

―――――公園・・・・?あれ、何時の間に。

長谷川のオッサンと飲んでて、店も閉店時間になったから。

お開きにしようってんで、家路に向かった筈なんだが。

―――――・・・・多少は酔えたって訳か。

「・・・・沖田君?何してんの?こんな所で」

「真夜中の公務中なんでさァ。直属のクソ上司は、人使いが荒くて。
たまたま公園を巡回していたら、旦那がベンチで寝てたんでねェ」

そう言うと沖田君は、「よいしょ」と隣に腰掛ける。

「大変だねえ、おたく等も。
市民の安全の為とは言え、こんな時間帯までパトロールなんざ。何?一人な訳?」

オレの問い掛けに、彼は首を左右に振ると。

「部下達と一緒ですぜ。奴等には、町内を巡回させてまさァ」

「ふうん」

相槌を打ちながら首を360度回転させれば、二回ほど軽く軽快な音が鳴った。

「・・・・・旦那」

「ん?」

「――――旦那に問い掛けられたあの日以来、チャイナを見掛けなくなったんですが。
アイツに何か、あったんですかィ?」

少し寝た所為か、幾分頭がしゃっきりしている。

「もしかして、ずっと探してくれてた訳?」

「まあ――――気まぐれ程度ですがね」

至極つまらなそうな表情を浮かべ、沖田君は呟いた。



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