「――――外出?」

私の問い掛けに、そよちゃんは笑顔で答えた。

「ええ。兄上が紅葉狩りをしたいと、言い出して・・・・・。
それで今月末、近くに『しんじゅく御苑』があるんで其処に行く事になりました」

「そよちゃんも、一緒なの?」

「はい。なので、女王さんにも一緒に来て頂く事になるんですが・・・・」

「勿論!喜んで、お供するアル。その為の用心棒ネ――――ん?この場合は穴アルカ。
そよちゃんは、何も心配せずに紅葉狩りを楽しむヨロシ」

「――――良かった。有難うございます」

四年前と変わらない笑顔を向けてくれた友人に対し、私も笑顔を返す。

あれ・・・・・待てヨ・・・・・?

「―――上様にも、勿論護衛がつくんだヨネ?」

私の問い掛けに彼女は、バツの悪そうな顔を浮かべて小さく頷いた。

「はい―――。女王さんもお察しとは思いますが・・・・・」

「――――やっぱり、真選組アルカ」

万事屋にいた頃から、そうだったが――――。

上様=真選組の図式が、既に私の脳にインプットされている。

今更別の護衛組織なんて、思いつきもしない。

「あ、でも。――――ご安心下さい。私と兄上は、少し離れて鑑賞する予定ですから」

「え?そうなの?」

「ええ。どうも紅葉狩りと称した、酒宴が催されるみたいで。
私はそういった席は苦手ですし、兄上にもその当たりは理解して頂いてます」

その話は、私にとっても有難かった。

真選組の例の四人組みは、間違いなく『紅葉狩り』場所に現れるだろう。

折角『万事屋』から離れ、0からスタートした私にとって。

――――接点を、持ってはならない存在。

「・・・・女王さん。ひょっとして、
真選組の方々と――――関わりを持つのを、避けていらっしゃるんですか?」

整った眉を八の字にさせて、戸惑いに気味に言葉を発する姫君に。

私は苦笑いを浮かべて、今までの事を全て洗いざらい話す事に決める。

雇用主である、そよちゃんに知られて何もマズイ事は無い。

私が話をしてる間、彼女は真摯に耳を傾けてくれた。

「・・・・そんな事が、あったんですか。―――辛かったでしょうね」

「ううん。確かに――――あの男の言う通り。私は世間を知らなすぎていたネ。
もっと目を向けなきゃダメアル」

そう――――もっと、『銀ちゃん』以外の世界へ。



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