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「――――大丈夫な訳ねえだロ!何処に目つけてんだヨ!」

思わず怒りに任せて、眼前の男に向かって吼えた。

力強く瞑っていた両目を、少しずつ開いていく。

まず視界に映ったのは、黒の靴と――――ズボン。

「・・・・ま・・・・さか」

再び降りてきた男の声に、心臓が一瞬だけ震えた。

え?―――――この・・・・・声・・・・?

「てめえ――――チャイナか?」

無意識に視界は上に向かい、驚愕した男の顔を映していた。

瞬時に顔を俯かせ、固く口を閉じる。

―――――しまった!!よりによって、コイツに見つかるなんて!

立っていた黒制服の男は、両膝を折り――――私の顔を覗き込む。

「チャイナだろ?つうか、何で腰元なんざやってんだ?」

無視を決め込み、床に着いた尻を持ち上げ立ち上がろうとするも。

ドS王子の居場所が邪魔で、それが出来ずにいた。

「――――おい。口があんなら、答えやがれってんだ」

どうも此処から退く気は、無いらしい。

・・・・・仕方なく、口を開く。

「別にお前には、関係ないアル。さっさと其処どけヨ」

「関係ないとは、冷てえなあ。こっちはお江戸中、てめえを探してたってのに」

この台詞に思わず、眉間に皺が寄った。

「は?何で?」

「まあ―――――そんな事より。この事、旦那は知ってんのかィ?」

知ってる訳が無い・・・・・と、言うか知られない様にしてたのに。

「銀ちゃんには言うなヨ!!言ったら、お前の首へし折ってやるネ!」

飄々とした男の顔を、鋭く睨み付け怒声を放った。

「お~お、そいつは怖ぇなあ。何か知られちゃマズイ事でもあんのか?」

「・・・・・・・」

「ま、良いか。オレは奇跡か偶然にも、てめえを見つけられた訳だし」

ようやく立ち上がると、何の冗談か右手を差し出して来た。

「ほれ。いつまでも其処に尻着いてっと、冷えんぜ?」

私は丁重にその手を払いのけて、自分で立ち上がった。

「しっかし・・・・道理で見つからねえ訳だ。そよ君の側近たあ。
オレ等『真選組』でも、安易に近づけねえし。茂茂公の警護する時くらいだもんなァ」

「――――お前が私を、探してたって・・・・何か用でもあったのかヨ」

「うん?――――まあな。てめえが、好きだって。伝えたくて」




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