私を取り囲む天人達は・・・・ゆうに20は超えている。
親友を人質に取る天人には、動くなと言われたが。
「はい、分かりました」と、大人しく引き下がる訳にはいかない。
―――――とにかく。彼女の救助が、最優先だ。
そよちゃんと私の距離は、大分――――遠い。
雑魚の相手なんざ、してられない。
私は右足に思い切り力を篭めて、地面を強く蹴り上げ高く跳躍する。
驚きと怒りの声が、同時に上がるのが分かった。
「はあああああああ!!」
番傘を下から振り上げれば、前方を塞いでいた敵達が一気に吹き飛んでいく。
天高く飛ばされた天人達は、放物線を描き。
私の言葉通りに血反吐を吐き、地面と接吻する羽目になっていた。
数人から銃口を向けられ、罵声を浴びせられるが。
咄嗟に番傘を盾にし、銃弾を避ける。
弾切れを確認し、一度番傘を閉じて――――金属音を鳴らせ。
こちらに向かって来る敵共を、機関銃の様な銃弾で浴びせ返す。
己の身体に貫通する穴を見て、苦痛を表情に出し膝を折って倒れる天人達。
私の顔にも、所々――――返り血が飛んで来る。
塞がれていた壁が・・・・徐々に開いて来た。
苦しそうに顔を歪めながら、こめかみに銃口を向けられてる彼女が見える。
―――――待ってて。待ってて、そよちゃん。今、助けるから。
最後の防衛陣を、突破しようと――――した・・・・その時だった。
自分の身体に、突然痛みの連鎖が襲ってきたのは。
右肩――――左太股・・・・脇腹・・・・――――そして・・・・腹部。
無意識に肩越しから、背後を見やれば。
幾人かの天人達が――――手元にある金属の獲物の先から、白煙を吹かしていたのだ。
・・・・・撃た・・・・れた?
そう理解した瞬間・・・・被弾した箇所から、一斉に血飛沫が舞い上がる。
「―――――っ!」
「はははは!馬鹿が!調子こいてるから、そうなるんだよ!」
撃たれた私を見て、親友を人質に取っている天人は奇声を発し。
その親友は蒼ざめた表情で、甲高い悲鳴を上げていた。
「いやああああ!!女王さん!!女王さん!!」
大丈夫ヨ・・・・こんな痛み・・・・何て事ないネ。
私は、『宇宙最強戦闘傭兵種族の夜兎』の一族。
こんなの――――ほんの掠り傷にしか、ならない。