叩き伏せても、叩き伏せても。
「――――これじゃあ、キリがねえじゃねえか!」
半ば切れ状態で、応戦していた時だった。
複数の銃弾音が、己の鼓膜に届けられたのは。
「!?」
もしかして―――――姫君が!?
愛用の木刀で、未だに喰ってかかって来る敵共を一掃し。
焦りを隠せず、全速力で現場に向かった――――その先には。
地面に両膝を付いて、今にも倒れそうな神楽がいた。
「チャイナあああああああ!くそっ・・・・どけって言ってんだろうが!」
同時に沖田君も、神楽の惨劇を目の当たりにしていたらしい。
複数の箇所に、弾を浴びて――――白い肌に、血を流す・・・・女。
身体全体が、地に横たわったと同時に。
―――――オレの中で、何かが弾け飛んだ。
何処をどう行動していたのか、自分でも分からない。
ただただ・・・・少しでも、神楽の傍へと。
一瞬でも早く――――この両腕で、生きてると確認したくて。
無我夢中で、愛用の木刀を振り回していたと思う。
「神楽・・・・・神楽ああああああああ!」
―――――だが。オレの声にも、全く反応を見せないまま。
天愚党と名乗る、憎憎しい敵が。
オレの行く路を、これでもかと――――遮って来る。
どけ・・・・・どけ・・・・・どけ!
只管前だけを・・・・・己の胸中に、宿る女を目指し進む。
―――――そんな、時だった。
右往左往に存在していた、天人共達が――――突然の嵐に出遭った様に。
奇声と恐怖を交えた悲鳴を上げ、綺麗な放物線を描いて吹き飛んでいったのは。
「―――――!?」
額に掛かる汗を、右手の甲で拭いながら。
現場付近へと、視線を移動させれば。
―――――何処かで見掛けた、シルエットが二つ。
煙幕に紛れて、浮かび上がって来た。
「・・・・・あれ・・・は」
徐々に視界が開け、シルエットがはっきりとしてる。
神楽の前に、庇う様にして立つ・・・・・白い巨大犬と。
『宇宙最強のえいりあんはんたー』の、星海坊主だった。