意識は朦朧とし始め、自分の両膝が折れて。

身体全身が、地面に着くのを感じた。

幻聴・・・・・じゃなければ―――――。

そよちゃんの悲鳴と・・・・サド王子・・・・・。

―――――そして・・・・私の名を呼ぶ・・・・低音の声。

・・・・・銀・・・・ちゃん。

不覚にも、血を出し過ぎたのか。

身体を動かしたいのに、全然言う事を聞いてくれない。

―――――私の助けを・・・・待ってる人がいるの・・・・に。

目を・・・・・瞑ってはいけない。

そよ・・・・ちゃ・・・・・・。

「暫く――――そうしていろ、神楽。すぐに片付けてやる」

頭上から降り注がれる、聞き覚えのある声。そして「クウン」と、続く悲しげな泣き声。

「パ・・・・ピ・・・・・?・・・・・さだ・・・・はる?」

名を呼んだのを最後に、私の両瞼は無意識に閉じられてしまった。










――――――何処だろう?此処は。

真っ暗闇で・・・・・何も見えない。

私自身が、一人いるだけ。

呆然と立ち竦んでいたら、突然降って湧いた声。

『万事屋から、出てってくれね?』

・・・・・・ああ。銀ちゃんだったのか。

あの言葉を言われたの・・・・もう一ヶ月前くらいに、なるのかな。

・・・・1人の時間が欲しいと、言われて。

私は半ば放心状態のまま、万事屋を後にしたんだっけ。

銀ちゃんに言われた通りに―――――世界を、もっと見ようとして。

ねえ?銀ちゃん。

1人の生活には、大分慣れた?

私がいなくなって、清々してるんでしょう?

いつまでも『ガキ』のままの私が消えて、青春を謳歌してる?

――――好きな女性には、もう出逢えた?

私は・・・・ね、銀ちゃん。

何度も、何度も――――忘れ様としたんだヨ?

だから滅多に顔を合わさない様に、親友のそよちゃんの用心穴をする事にして。

このまま顔も声も聞かなければ・・・・きっと、時間が忘れさせてくれるんじゃないかって。
――――――そう思っていたの。でも・・・・結局無理な話だった。

だって・・・・また、出逢ってしまったんだもの。



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