宇宙最強のえいりあんはんたーが、突如湧いて出来てたのをきっかけに。
あれだけうざかった敵共達が、面白い様に放射状に吹き飛んで行く。
悲鳴と吐血を吐き出し・・・・又は嗚咽を上げながら。
――――時間にすれば、数分の出来事だった。
あっと言う間に、『天愚党』と名乗った全ての奴等は。
地べたに叩きつけられ、失神――――もしくは、傷を負って苦しんでいる。
茂茂公と破壊王・・・・その他の重鎮達を、非難させ終えたゴリと土方は。
その対応に、追われていた。
「全隊士に告ぐ!こいつ等を、捕縛しろ!!迅速にだ!」
ゴリが通常よりも大声で、陣頭指揮を執っている横では。
煙草を吹かしながら、苦々しい顔で呟く副長。
「・・・・っち。まあた、あのオヤジに・・・・でけえ借りが出来ちまった」
『最強最悪の傭兵民族』の圧倒的な力の差を、マジマジと見せ付けられたオレは。
暫し呆然としていたが、神楽が脳裏に蘇り――――。
地面に横たわる奴等を、飛び越えながら・・・・近づいて行った。
「神楽!神楽ああ!」
「あっ!ちょっ・・・・待って下さいよ!銀さん!!」
背後で新八から声を掛けられたが、今はそんな場合では無い。
とにかく神楽の容態が、心配だ。
定春はオレを視界に映すなり、そっと飼い主から離れた。
横たわり身体の至る所から、出血をしている――――。
「神楽!?神楽!!」
肩を掴んで揺さぶってみても、反応は起きない――――両瞼さえ、ぴくりともしない。
――――顔面蒼白に、なるのが分かった。
このままじゃ・・・・マズイ・・・・!
急いで病院に、運ばなにゃ――――。
「旦那ああ!」
ふと――――右側から、沖田君の声が聞こえて来る。
息堰を切らして、神楽の傍へとやって来た彼は。
端正な顔に返り血をこれでもかと浴びて、両肩で荒々しく呼吸を繰り返していた。
「チャイナは!?」
「――――このままじゃあ、マズイ。急いで病院へ搬送しねえと・・・・・」
地面に寝そべったままの神楽を、抱え上げようとした――――時だった。
第三者の片腕がオレの手を払い、気を失っている女を抱え上げたのだ。
「・・・・コイツに、触れるな。後はオレが面倒を見る」
――――そう言うと。星海坊主は娘を脇に抱いて、脱兎の如くその場を後にした。