「んで?禿げオヤジは、今何してるんでィ?」

「――――知らないネ。何か用があるって、出掛けたアル」

目の前に差し出された、茶菓子を食べながら返答する。

「・・・・そうか。星海坊主さんにも、ちゃんと礼を言わなければな。
彼のお陰で、不穏分子を一網打尽に出来た訳だし」

ゴリは何度も首を縦に振ると、軽く溜息を吐いた。

「今度顔を出した時にでも、言えやいいだろ?・・・・ったく。攘夷志士だけでも、手を焼くってのに。
よりによって天人共の、反乱たあ――――世も末だぜ」

フィルターを噛み潰しながら、苦々しく呟くニコマヨ。

「オレとしては、あんたがあの大襲撃で・・・・大往生してくれりゃあ。
手を汚さずに、済んだんだけどなァ。この先」

この台詞に額に血管を浮かばせて、ドS王子の襟を掴む副長。

「安心しやがれ、総悟。てめえの思惑通りには、決してならねえからな」

――――何だか、アホらしくなって来た。

「おい、もう良いのカ?だったら、お暇させろヨ」

私の言葉に、ゴリが反応する。

「ん?ああ。一応の、調書は取れたし。無事な姿を拝見出来たし」

許しを得れたので、この場を後にしようと立ち上がると。

「――――もうすぐ暮れだ。仕方ねえから、送っててやらあ」

何を思ったのか、ドS王子も立ち上がる。

「え!?別に必要ないアル!」

「ああ、そうしてやれ。総悟。あの大事件の後だ――――何があるか、分からんからな」

「まあ・・・・チャイナ娘なら、反対に襲撃して来る奴等を木っ端微塵にしそうだがな。
念には念を――――だ。ウチの総悟は頭は空だが、腕は立つ。安心して良い」

ゴリとニコマヨに押され・・・・しかもドS王子の「行くぜ?」の言葉に。

私は流される様に、その場を後にした。

よりによって一番歩きたくない奴と、真選組の屯所を出て街中を歩く事になろうとは。

「―――何処まで、送れば良いんだ?お江戸城で良いのかィ?」

「そこまでは、良いアル。もうお江戸城には、いないから」

この言葉に隣を歩いていた男が、「は?」と素っ頓狂な声を出した。

「私・・・・そよちゃんの、用心穴――――辞めたネ」

「それまた・・・・急だなァ。んじゃあ、また『万事屋』に?」

『万事屋』の三文字の言葉に、私は苦笑いを浮かべ首を左右に振る。

「――――パピーと、一緒に。『宇宙』へと、赴くアル」

動かしていた両足を、隣で歩いていた男が止めた。

「・・・・・それ。いつの話しでぇ」





NEXT

BACK

銀神処へ戻る