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「――――聞こえねえよ。もっとはっきり言え」
ドスの聞いた重低音に、オレの言葉は先程よりも大きく発せられる。
「違げえよ」
「・・・・何が違うってんだ?」
「最初は只の、『ガキ』としか見てなかった。
けど月日が経つに連れて・・・・アイツはどんどん、『女』らしくなって。
その過程を一番近くで見て来て、何も想わない方が無理ってもんだろ」
一気に捲くし立て喋り、ふうっと息を吐き出す。
「『保護者』から『男』として神楽を見ている、自分に嫌気が差したって訳か?」
もうこうなりゃ、破れかぶれだ――――当人の父親を前に嘘なんざ付けるか。
「そうだよ!このままじゃいつか・・・・アイツを穢して、傷つけそうだったから。
――――神楽の中の『坂田銀時』を、壊したくなかったんだよ」
「だから。神楽を此処から、追い出したってか」
星海坊主は前に乗り出していた身体を、漸く背凭れに預ける。
「つまり・・・・てめえは、神楽を好き――――って事なんだな?」
「ああ、そうですよ!お父さんの前で、言っちまいますけどね!
もう常にアイツが脳内を独占してる状態ですよ!五感全てが、神楽に向いちまって仕方ないですよ!
消去しようとしても、消去出来ないんすよ!」
文句あるか?コノヤロー!的な口調――――此処まで来れば開き直りである。
第二発が来るなら、来やがれってんだ・・・・と構えていたら。
「そうか・・・・分かった」
それだけ言うと、星海坊主は腰を上げた。
―――――あれ?
「・・・・明後日。オレは神楽を連れて、『地球』を発つ」
地球を発つって事は――――え?つまり。
「―――――神楽は、『えいりあんはんたー』になるって事か?」
「それ以外、ねえだろうが。妹君の用心棒は、辞めさせた。勿論、茂茂公の許しは得てある」
明後日には・・・・・・神楽が――――『地球』からいなくなる?
「当分、『地球』には寄り付かねえつもりだ」
禿げオヤジの言葉は、半分しか聞こえていない。
――――いつも隣にいて、笑顔を見せていてくれた・・・・神楽が。
『銀ちゃん』と、心地良い音色で呼んでくれていた・・・・神楽が。
・・・・・・・いなくなる?
半ば呆然状態のオレを見かねたのか、星海坊主は盛大に溜息を吐くと。
「――――銀髪。てめえは、後悔って言葉知ってるか?」