カードキーを差し込んで、ドアノブを回せば。

真っ暗な室内が、私を出迎える。

「・・・・パピー。まだ帰ってないアルカ」

室内の電気を点けて、キングサイズのベットへと腰掛ける。

唯でさえ広い部屋なのに、一人きりだと更に広さが増した気がしてならない。

『明後日』・・・・・か。

ベットのスプリングが軋ませながら、ゆっくりと立ち上がり。

重厚なカーテンで、隔たれた窓辺へと近づく。

少しだけ開ければ、眼下に広がる――――街中の灯火達。

一部うるさい程のネオン達が輝いてるのは、恐らく『かぶき町』だろう。

そして・・・・その先に―――聳え立つ。

『銀河ターミナル』。

・・・・・私を『地球』から、連れ出してくれる唯一の交通手段。

――――パピーと共に、銀河を駆け巡る。

『えいりあんはんたー』になる事は、ずっと私の夢だった。

『地球』と言う宿り木が、余りにも居心地良過ぎて・・・・。

何だかんだ、4年も月日を過ごしていた。

4年前は『ガキ』と呼ばれ世間知らずで、育ち盛りの少女だったけど。

今ではそれなりの、『女性』になった――――つもりでいた。

でも・・・・世間知らずは、変わらぬままで。

「当たり前か」と、両肩を竦めて苦笑いを浮かべる。

―――――だって、私の世界は『銀ちゃん』一色だったんだもの。

そう・・・・・私にとって彼は、『全て』だった。

でも、もうそれも終わり。

もっと・・・・もっと――――世界を、広げるのだ。

銀ちゃんが――――そう、言ってくれた様に。

「でもね、銀ちゃん。・・・・私――――やっぱり忘れる事は、出来ないと思うネ」

だって初めて自分が、『異性』と認識した人物なのだから。

―――――初めて『恋』と『片思い』言う、2つの感情を味あわせてくれた人物だから。

どんな惑星にいても、ずっと思い続けるヨ。

私以外の誰かを好きになって、一緒になったとしても。

「・・・・・・・・」

窓辺に広がる夜景を、感慨深げに眺めていたら。

突然チャイムの音が、室内に響いた。

―――――誰だろう?パピーなら、カードキーを持ってる筈だし・・・・。

首を傾げながら、玄関のドアへと向かった。




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※長かった話も、いよいよ佳境に入って参りました。
まさか自分自身、こんなに長くなるとは思ってもおりませんでしたが・・・・・。
此処まで読んで下さってる方々に、心底感謝しております(T▽T)
完結までどうぞ、お付き合い下さいませ。