・・・・・ん?

頬に・・・・暖かい、感触がする・・・・・・。

「・・・・・?」

眠りの世界から、現実の世界へと――――。

意識が引き戻されて、閉じていた両瞼をゆっくりと開いていく。

「――――――」

目の前には、肌色が広がっており。

頭上からは、明らかに自分とは違う別の存在の寝息。

無意識に数回瞬きをしながら、顔を上に上げれば。

「―――――!?」

両瞼を閉じながらも、気持ち良さ気に呼吸を繰り返している銀髪男。

顎には薄っすらと、小さな無精髭が生えていた。

こんな至近距離で、銀ちゃんの顔を拝むのは初めてだ。


「・・・・・・・」

男の両腕は、私の背中と腰に回されている。

抱き枕と、勘違いされてるじゃないかってくらいに――――強く。

抱き締められているのだと、今・・・・・理解した。

途端。昨夜の出来事が、脳内をフラッシュバックして来る。

この男の腕に抱かれ・翻弄され・高みに昇らされ。

耳元で何度も、己の名前を囁かれたのを思い出した。

―――――瞬間。

擬音を使えば「ボン!」と、表現しても良い程に。

私の顔は真っ赤になり、至る所から蒸気を発してるに違いない。

薬缶なんぞ乗せられたら、たちまち湯を沸かせられる――――それくらいに。

―――――夢では、ない。

お互い、生まれたままの姿であり。

私の胸元で男が唇で咲かせた、小さな花弁が幾つも証として残っている。

しかし・・・・・信じられない。

私が、銀ちゃんに――――抱かれたなんて。

「う・・・・・ん」

頭上から、男の鼻に掛かった声が降り注がれた。

頬に影を落とし伏せられていた睫が、僅かに震え。

閉じられていた瞼が、薄っすらと開かれていく。

完全に開ききった瞳は、最初に天井を映し。

次に私の顔を、映した。

「――――よお。おはようさん」

一番の笑顔を、向けられ。

恥ずかしさの余りに、自身の顔を布団の中に隠して。

「おっ・・・・おはヨ」と、小さく返答した。





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※とうとう、ゴールインです。←長かった、本当に。
今更ですが私が書くと、銀さんと神楽ちゃんのキャラがマジで変わってしまいますね。←本当、今更だな。
他の銀神サイト様達の管理人様方々を、尊敬致します。