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男の背に続きながら、階段を昇れば。
―――――1ヶ月以上も前に飛び出した、『万事屋』が目の前にあった。
家主は玄関の戸に手を掛け、ゆっくりと開けていく。
・・・・・鍵が、掛かっていない?新八が来てるのカ?
そう思いつつ、銀髪男の背後から――――玄関先を見遣れば。
見覚えのあるブーツが、綺麗に揃えられて置かれていた。
「パピー・・・・・」
そう言えば。昨日――――銀ちゃんと、会っていたんだっけ。
ホテルに戻って来なかったという事は、『万事屋』で夜を越したんだろうか。
「・・・・銀さん?ですか?」
――――玄関外で、佇んでいた私達に。良く知った声が前方から、両耳に届けられた。
「おお、ただいま」
「ただいま。じゃ、ありませんよ!一体何してたんですか!星海坊主さんから、お使い頼まれて帰って来たら・・・・銀さんいないし。星海坊主さんを一人にさせておく訳にもいかないから、家に帰らないで此処で待ってたんですよ!?・・・・・って、あれ?」
怒り口調だったのが、私の姿を捉えた瞬間。
眼鏡の奥にある2つの瞳は、大きく見開かれ。
口元を僅かに震わせて、「神楽・・・・ちゃん?」と私の名を紡いでいた。
そんな新八の様子に、私は苦笑いを浮かべて。
「ただいま、新八」と、答えた。奥から愛しい飼い犬が、嬉しそうに駆け寄って来ている。
新八は何も聞かずに、柔らかな笑顔をこちらに向けると。
「――――お帰り、神楽ちゃん」と、言ってくれた。
「とにかく。いつまでも、其処に突っ立ってないで。入ってくださいよ」
「――――ああ」
銀髪男は首を縦に振ると、ブーツを脱ぎ捨て廊下に足を踏み入れる。
それに続いて私も、愛用のチャイナ靴を脱いで上がり。定春の鼻の頭を、優しく撫でる。
「パピーは?」
「・・・・・・居間にいるけど。昨晩から一睡も、してないみたいで。
何か――――すんごい、ドス黒いオーラ醸し出してるし。思わず怖くて、銀さんの和室に非難しちゃったよ」
そんな話を聞きながら廊下を歩いて、居間へと辿り着いた瞬間。
新八の言っていた通り、長椅子に腰掛けたパピーが両目を鋭く据わらせ。
全身から恐ろしい程のオーラを、醸し出していた。
「――――よお・・・・銀髪。遅かったじゃねえか」
銀ちゃんの姿を視界に捉えた瞬間、口元をこれでもかと歪めて笑った。
「ちゃあんと、説明して貰えるんだろうなあ?」
父親から繰り出される、『威圧感』に銀髪男は身を竦ませ苦笑いを浮かべる。