『幸せになれ』。

そう言ってくれた父親の言葉が、脳内でリフレインする。

・・・・・有難う、パピー。

私の幸せを、一番に考えてくれて。

でも、でもネ?本当に、『えいりあんはんたー』になろうって。

パピーと一緒に、『銀河』を巡ろうって思っていたんだヨ?

だって、それが私の『夢』でもあったし。

・・・・・だから。後少しだけ、待ってて。

何時か必ず、パピーの隣に立つから。

でも―――――まだ、今は。坂田銀時の傍に、いたいノ。

「・・・・良いお父さんだね」

私の隣で事の状況を、同じ様に見守っていた新八が口を開いた。

「当然ヨ。私のパピーだからナ」

戻って来た返答に、「確かに」とメガネの青年は笑顔を浮かべる。

「――――でも、本当。良かった。神楽ちゃんが、戻って来てくれて。あの時・・・・辞表を受け取らされた時は・・・・どうしようかと思った。引き止める事さえ出来ない自分に、凄く腹が立った。銀さんにも、無性に腹が立った。勝手に神楽ちゃんを追い出して・・・・口では強がり言いながらも、結局神楽ちゃんがいないと駄目な癖に。強がって、自分を追い込んで――――本当、見てられなかったよ。あれは銀さんの、『黒歴史』だ」

新八の言葉に、限界まで見開く瞳。

「・・・・・」

私がいなくなった後の銀ちゃんは、そこまで変わっていたのか。

実際本人の口から、聞ける事は出来たが。

間近で銀髪男を見てきた従業員の言葉に、改めて驚きは隠せない。

「『黒歴史』って、揶揄する程に・・・・落ち込んでいたのカ?」

私の問い掛けに、新八は笑顔のまま。

「―――――初めてじゃないかな。銀さんがあそこまで、憔悴した顔を晒したのって」

「・・・・・・」

そうカ。そんなにも、私の存在を――――。

嬉しい気持ちと、照れ臭さとが・・・・胸中で混ざり合う。

メガネ青年から、再度視線を父親と――――気持ちを通じ合った男に向けると。

テーブルを挟んでお互い身を乗り出し、何やら話し合っている様だ。

パピーは額に血管を浮き上がらせ、銀髪男をやぶ睨みしている。

対し――――銀髪男は、激しく動揺し両手を顔の前で振っていて。

「・・・・一体、何を話してるんだろうね?」

「さあ・・・・?」と新八の問いに、答えた。





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※完結までのカウントダウン、入りました。
もう少々、お付き合い下さいませ。