書類の次ページを捲る、紙の音。

狭い範囲の、街中で。
店を構える、『オーナー』達は。

生き残ろうと、売上げを上げようと。
試行錯誤し日々を、駆け抜けてるってのに。

それに対し。
ウチの『オーナー』は。

淡々と、その魅力的な唇で。
『趣味』と、言い放ちましたよ。

いくら、金に余裕があるからって。
思わず、聞かずにいられない。

「・・・お前さあ。一体、どんな『仕事』してんの?」

だって、そうだろ?

『ホストクラブ』を。
『趣味』として、営んでるなら。

『本業』は、何してんだって話だ。
どうやって、『金』を生んでるんだよ。

「聞いてどうするの?」

「・・・いんや。何となく」

「――――聞いた所で、何の足しにもならなくてよ」

そう言って、答えちゃくれない。

『チャイナ美女』

「・・・つれねえなあ」

オレの言葉に両肩を軽く竦め、妖艶な笑顔を浮かべて。

「褒め言葉として、受け取っておく」とだけ、返して来た。




30分後。
一折書類を見終わった、神楽は。
オレにそれを、手渡し。

―――もうそろそろ、開店時間ね。事務所に戻るわ」

ソファから、立ち上がりこちらを見る。

「もう少しくらい、いれば良いじゃねえか。」

「仕事を一時、中断して来たから。そうも、言ってられないの」

背中を見せて、入り口へ向かい出す。
釣られる様、無意識に立ち上がり。

「新八は?会わずに行くのか?」

「ええ。宜しく伝えといて」

先程の男から、コートを受け取り。
羽織らせて貰うと。

「じゃあね。頑張って頂戴、NO.1ホストさん」



→NEXT

←BACK

小説トップページへ戻る